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不動産を譲渡する時

(3)立体買換えの特例
●内 容
地価の高い都市部で有効に利用できない土地等がある場合に、宅地開発業者等にその土地等の上にマンション等を建築してもらい、その土地等の一部とマンション等の一部を等価で交換する方法(図4)を等価交換と呼びます。等価交換を使えば借入をすることなくマンション等の建物を取得することができますが、この等価交換にも税金の計算をするうえで課税の繰延べができる制度が設けられており、立体買換えの特例と呼ばれています。
立体買換えの特例としては、3つの特例がありますが、今回は一番利用しやすい「既成市街地にある土地の中高層耐火共同住宅建設のための買換え特例(措法37条の5の1の二)」について説明いたします。この特例の適用要件は特定の事業用資産の買換え特例よりも緩やかになっており、以下のようになっています。


(a)適用要件
譲渡資産は三大都市圏の既成市街地等又はそれに準ずる区域内にある土地等、建物、構築物であること。(所有期間や譲渡前の用途に関する制限は一切なし)
買換資産は譲渡した土地等の上に建築される中高層耐火共同住宅及びその敷地であること。
建築された中高層耐火共同住宅は建物全体の50%以上が住宅用であること。
買換資産は原則として譲渡した年かその翌年中に取得し、取得の日から1年以内に居住用か事業用に使用すること。


●計算方法(措法37条の5の1の二の立体買換え)
 a.譲渡資産の譲渡価額 ≦ 買換資産の取得価額の場合
   資産の譲渡はなかったものとみなされ、譲渡益に対する税金はかかりません。

 b.譲渡資産の譲渡価額 > 買換資産の取得価額の場合
   

(注)A … 譲渡収入金額
   B … 譲渡資産の取得費+譲渡費用
   C … 買換資産の取得価額

●注意事項
 a.他の譲渡所得の買換え特例や、特別控除の適用を受けることはできません。
 b.特定の事業用資産の買換え特例の注意事項c,dと同様。
   ただし、100%課税の繰延べができます。

●措法37条の5の1の二の活用法
この特例の最たるメリットは譲渡資産が指定区域内にあれば(例えば東京都なら23区内にあれば)短期所有の土地等でも、また、それが遊休地であっても特例の適用が受けられる点にあります。指定区域内に遊休地等を所有されている方や、もしくは御自宅を何か有効利用したいと考えている方は、この立体買換の特例を使えば、借入れや所得税等の負担をすることなく、マンションの建物を取得することができ、それを賃貸することによって安定収入を得ることができます。


(1)事業用不動産の買換え (2)特定の事業用資産の買換え特例


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