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健康保険証を利用できずに、全額自己負担をしたときには?

健康保険法では、業務上以外で病気やケガをした時に、健康保険の指定された病院や診療所(保険医療機関という)に健康保険証を提示すると、必要な医療を、かかる費用の2割の負担で受けられる仕組みになっています。しかし、出張先や旅行先などで急病又はケガをし、緊急で診療してもらった病院などが、厚生労働省で認めた保険医療機関でない場合(*1)があります。この際には、たとえ健康保険証を提示しても、何の効力もありません。診療にかかった料金(*2)の全額を自己負担しなければなりません。
そんな時には、後からその8割分(2割は必ず自己負担)を社会保険事務所又は健康保険組合に請求し、払い戻しを受けることができます。それを「療養費」といいます。その他、以下の場合には、療養費の請求ができます。

(1) 会社が健康保険の資格取得届(保険への加入手続き)を遅れて提出したとき、または手続き中に診療を受けたとき
(2) コルセット、義手・義足などの治療器具代―療養に必要と医師が判断した場合に限りますが、これらは現物支給として支給されませんので、いったん代金を立て替えて、その後療養費を請求する仕組みになっています。
(3) はり、きゅう、マッサージ―保険医の同意と傷病名があって、社会保険事務所又は健康保険組合が認めた場合に限ります。
(4) 海外旅行、海外勤務中、現地の医療機関にかかったときー社会保険事務所又は健康保険組合が認めた場合に支給されます。しかし、治療のために海外に渡る場合には認められません。

請求方法は、「療養費支給申請書」に病院の領収明細書、診療報酬明細書、コルセット等の場合には、領収書、保険医の証明書などを添付します。提出期限は、診療を受けた日から2年間ですので、なるべく早く手続きしましょう。

*1 保険医療機関が近くにあるにもかかわらず、自分の都合で保険を取り扱わない医療機関で診療を受けた場合には、療養費は支給されません。
*2 保険診療は、診療の内容ごとに保険点数表によって計算されます。ただし、この点数ごとの診療報酬はどの保険を利用するかによって金額が異なります。例えば、健康保険証を利用する場合には、1点あたりどの病院でも同じ単価なのですが、健康保険証を利用しない自由診療の場合には、単価が病院によって違います。ですから、療養費の請求の場合には、自由診療で高い料金を払ったとしても、健康保険証を使用したときの単価でしか計算してくれませんので、ご注意ください。海外の場合も同様で、国内の保険医療機関でかかったときの基準によって計算された額になり、支給決定日の外国為替換算率によります。
詳細は、社会保険事務所又は健康保険組合でお尋ねください。


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