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交通事故のとき

交通事故でけがをして健康保険証を使用し、
加害者から損害賠償も受けられる場合の注意点は?

病気やけがの原因が交通事故など、第三者の行為によるものでも、もちろん健康保険の給付を受けられます。しかし、その際に、加害者や自賠責保険から損害賠償を受けると、二重に医療費などの補償を受けることになります。そこで、健康保険を使った場合には、被害者が加害者に対して持っている損害賠償を請求する権利が、自動的に健康保険に移ることになっています。これを、「損害賠償請求権の代位取得」と呼んでいます。

損害賠償で健康保険に移るのは、被害者が健康保険から受けている範囲に限ります。それらは、病院等で医師の治療や薬剤にかかる療養の給付だけではなく、傷病手当金や埋葬料・家族埋葬料なども含みます。しかし、慰謝料、見舞金、被害者の家族に対する手当金など健康保険と直接関係の無いものや、入院の特別料金など健康保険で受けられないものについては、健康保険には移らず、被害者が加害者に損害賠償を請求できます。

被害者から移った損害賠償請求権を行使(求償)して、健康保険が加害者に損害賠償を請求するためには、被害者からの「第三者の行為による傷病届」が必要となるため、健康保険に提出しなければなりません。

このとき、(1)交通事故のときは、1.自動車安全運転センター事務所の事故証明書、2.事故発生状況報告書、3.診断書などを、また示談が成立しているときは示談書の写しを添えます。

被害者は、健康保険に移った損害賠償請求権の内容を変更することはできません。したがって、示談を行った場合には、その内容によっては、健康保険の給付の全部(損害賠償を全額受け取るか全額を免除した場合など)または一部(損害賠償額が健康保険の給付より少ない場合など)が行われなくなる場合があります。ですから、示談を行う場合には、事前に健康保険に相談することをお勧めいたします。


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