健康保険年金講座

身近な労働法シリーズ

雇用保険の就業促進手当について

失業給付を受給中に、再就職が決定するなどの理由で失業の状態ではなくなると、失業給付はその時点で打ち切られますが、一定の条件を満たしているときは、就業促進手当(就業手当、再就職手当、常用就職支度手当)が受けられます。
それらは、就職の際の雇用形態や状態により、3つの種類(1.非常用就業、2.常用就業の一般、3.常用就業の就職困難者等)の対象者を分けて考えています。以下、分類された対象者の受給要件と受給額について説明します。

就業状態

「就業手当」

対象者

非常用就業にあたる方

非常用就業とは、雇用期間が1年以下の就業形態で再就職することをいい、以下の条件にあてはまれば、受給できます。

就業手当の受給条件

1.

所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上を残して再就職したとき。

2.

離職前の事業主に再び雇用されたものではないとき。

3.

待期期間(7日間)経過後の就職であるとき。

4.

求職の申し込みをする前に、すでに内定していた会社に就職したのではないとき。

5.

給付制限を受けた場合に、待期期間の満了後1ヶ月については、公共職業安定所及び民間の職業紹介事業者の紹介により就職したものであること。

就業手当の額

就業手当の給付額は、実際に働いた日数に応じて、基本手当日額の10分の3を乗じて得た額(1円未満の端数は切捨て。)が賃金に上乗せするような形で支給されます。ただし、この場合の基本手当日額は、その基本手当の日額が12,060円の50%を超えるときは、6030円(60歳以上65歳未満は日額が10,810円の45%を超えるときは、4864円)が当該金額となります。


この就業手当を支給した場合は、その支給した就業日の日数に相当する日数分の失業給付を支給したものとみなします。

給付制限中であっても、就職したことを申告したときは、就職した日について就業手当が支給されます。



「再就職手当」

対象者

常用就業の一般の方で、所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上を残して再就職した方

常用就業の一般とは、雇用期間が1年以上の就業形態で職業についたとき。
または、公共職業安定所長が認める事業を開始したときなどがあたり、以下の条件に当てはまる 場合に、支給されます。

再就職手当の受給条件

1.

所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上を残して再就職したとき。

2.

雇用期間が1年を超えることが確実な安定した職業についたとき。または、公共職業安定所長が認める事業を開始したとき。

3.

就職日前3年以内の就職について、「再就職手当」、「常用就職支度金」、「早期再就職支援金」(※1)の支給を受け取ったことがないとき。

4.

再就職先で、雇用保険の被保険者となったとき。

5.

離職前の事業主に再び雇用されたものではないとき。

6.

待期期間(7日間)経過後の就職であるとき。

7.

求職の申し込みをする前に、すでに内定していた会社に就職したのではないとき。

8.

給付制限を受けた場合に、待期期間の満了後1ヶ月については、公共職業安定所及び民間の職業紹介事業者の紹介により就職したものであること。

再就職手当の額

再就職手当の給付額は、支給残日数の10分の3に相当する日数に基本手当日額を乗じて得た額(1円未満の端数は切捨て。)を一時金として支給します。ただし、この場合の基本手当日額は、その基本手当の日額が12,060円の50%を超えるときは、6030円(60歳以上65歳未満は日額が10,810円の45%を超えるときは、4864円)が当該金額となります。また、この再就職手当を支給した場合は、その支給した就業日の日数に相当する日数分の失業給付を支給したものとみなします。


※1―早期再就職支援金
再就職手当の支給要件に該当している方で、就職の前日までの支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合には、(財)高年齢者雇用開発協会より「早期再就職支援金」が支給されます。(この場合、再就職手当は支給されません。)
支給される「早期再就職支援金」の金額は、支給残日数に基本手当日額を乗じて得た金額の4割に相当する額(1円未満は切り捨て)となります。



「常用就職支度手当」

対象者

常用就業の一般にあてはまる方で、所定給付日数の3分の1未満又は45日未満を残して再就職した方
就職困難者にあてはまる方

常用就業の一般とは、雇用期間が1年以上の就業形態で職業についたとき。または、公共職業安定所長が認める事業を開始したときなどがあたり、ここでは、「再就職手当」では除外されていた所定給付日数の3分の1未満又は45日未満を残して再就職したときに支給されます。
常用就業の就職困難者とは、(1) 身体障害者、(2) 精神薄弱者、(3) 就職した日におい て45歳以上の受給資格者(雇用対策法に基づく再就職援助計画書等の対象となる者に限定)のことを言います。 その他にも対象となる方はいますが、対象者が少ないと思われるため詳細は割愛します。

常用就職支度手当の
受給条件

1.

公共職業安定所及び厚生労働省が許可した民間の職業紹介事業者の紹介により就職したものであること。

2.

雇用期間が1年を超えることが確実な安定した職業についたとき。

3.

就職日前3年以内の就職について、「再就職手当」、「常用就職支度金」、「早期再就職支援金」(※1)の支給を受け取ったことがないとき。

4.

「再就職手当」の支給を受けることができないこと。

5.

離職前の事業主に再び雇用されたものではないとき。

6.

待期期間(7日間)経過後の就職であるとき。給付制限のある方は、給付制限の経過した後に就業に就いたこと。

常用就職支度手当の額

常用就職支度手当の給付額は、支給残日数90日以上の場合は、基本手当の27日分、45日以上90日未満の場合は基本手当日額に支給残日数の10分の3を乗じて得た額(1円未満の端数は切捨て。)、45日未満の場合は、基本手当日額に支給残日数に45日の10分の3を乗じて得た額(1円未満の端数は切捨て。)、となります。



ご不明な点は、公共職業安定所でお尋ねください。




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