健康保険・年金講座

身近な年金シリーズ

決定された年金額に不服があった場合には?

厚生年金保険制度における被保険者の資格、標準報酬、保険料、または保険給付(年金など)に関する処分のうち、被保険者資格、標準報酬等は社会保険事務所が、保険給付は脱退手当金を除き社会保険庁長官が、また保険料は徴収職員が行います。これらの処分は、公権力をもって行われますから、被保険者、年金受給者、事業主はこの決定に従わなければなりません。

しかし、社会保険事務所等で行われる事務処理件数は、相当な数量にのぼりますので、その中に不当な処分がまったくないとは言い切れません。このことにより、被保検者、年金受給者、事業主が、権利の侵害等の不利益な取扱いを受けたとして、不服を持つことも当然予想されます。

厚生年金保険におけるこのような場合の権利の保護救済については、最終的には裁判所の判断によることとなりますが、被保険者、年金受給者、事業主の権利救済を敏速適正に行うため、特別の審査機関を設けて裁判に先行することとしています。その審査は二審制となっており、第一次の審査機関として、各都道府県の社会保険事務局に独任の社会保険審査官が、第二次の審査機関として厚生労働省に合議制の社会保険審査会が設置されています。


審査請求の行い方

厚生年金保険における標準報酬または保険給付に関する処分に不服のある人は、その処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に処分の内容に対して、社会保険審査官に審査請求をすることができます。さらに社会保険審査官の決定に不服がある場合は、審査官の決定を知った日の翌日から起算して60日以内に、また、社会保険審査官に審査請求した日から60日以内に審査官の決定が行われなかった場合に、社会保険審査会に再審査請求を行うことができます。ただし、保険料等の徴収金の賦課または徴収の処分、督促処分または滞納処分に不服がある場合についての審査請求は、社会保険審査会に直接行うこととされています。

不服申し立ては、通常、所在地の都道府県の社会保険事務局に行いますが、年金の裁定処分の決定には、裁定請求書を提出した社会保険事務所のある都道府県の社会保険事務局に申し出ることになっています。このとき、住所地の都道府県の社会保険事務局を経由して申し出ることもできます。審査請求、再審査請求は、請求人が文書か口頭により行うことになっていますが、委任状を受けた代理人が行うこともできます。



審査請求の効力

社会保険審査官の決定および社会保険審査会の裁決は、原処分をした社会保険庁長官等や利害関係人を拘束します。つまり、審査官、または審査会が、請求人の不服申し立ての内容の審査を行い、不服を認めた場合(「容認」という)、保険者は、決定書に基づき処分の変更を行います。それとは逆に、不服が認められない場合(「棄却」もしくは「却下」)は、原処分は変更しません。

社会保険審査会の裁決に不服のある場合は、裁決があったことを知った日から3ヶ月以内に、文書で、裁判所に、行政処分の取り消しの訴えを提起することができます。なお、この処分取消の訴えは、社会保険審査会の裁決を経た後でなければ提起できません。



詳しくは、社会保険庁でお尋ねください。





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