健康保険・年金講座

身近な年金シリーズ

年金の一元化ってどういうこと?

会社員や公務員の方々はかつて厚生年金をはじめ6つの制度に分かれている被用者年金制度(共済組合など)にそれぞれ加入していました。平成元年の年金改正の際に、それら6つの被用者年金制度を2階部分とし、国民年金を1階部分に置き、1階部分については基礎年金として全国民に加入義務を課す制度としました。平成9年4月に旧三公社(現在のJR、NTT、JT)が厚生年金に統合され、さらに農林共済も平成14年4月1日に厚生年金に統合され、2階部分については、現在は4制度(厚生年金、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済組合)に分かれています。

従来一般に言われる「公的年金の一元化」は1階部分である国民年金を除いた、2階部分の4つの被用者年金制度(報酬比例部分)の財政単位の一元化を指すものと理解されていました。

しかしながら、平成16年4月7日に、民主党は1階部分である国民年金を含めて、2階分部の厚生年金、共済年金などの公的年金を一つの制度の統合し、公平でわかりやすく、転職などにも対応しやすい制度を構築するという理念法を国会に提出しました。これには具体的な数値は全く示されておらず、今後5年間かけて検討するというものです。

民主党案は今の2階立て制度をすべて廃止し、全国民が新たに創設する「所得比例年金のみの共通の制度」に加入し、現行制度から40年かけて段階的に移行するとなっています。

しかし、今まで国民年金だけ加入義務があった自営業者は、所得の大小にかかわらず定額の保険料を支払っていたため、被用者、自営業者とも同じ保険料率で徴収するには、公平な所得の把握が不可欠です。そのためには欧米諸国やオーストラリア、韓国などがすでに導入している「納税者番号制度」の導入の議論を併せて行う必要がでてきます。

また、自営業者には事業主負担がないため、その分を併せて本人に負担してもらうか、また、自営業者に必要経費を考慮した所得に対して「保険料率」を課した場合に、被用者についても必要経費(給与所得控除)を認める必要があり、新たな「公平論」が出てくると予想されます。

公的年金は、国民のそれぞれの雇用・生活実態に見合った合理的な制度でなければなりません。「公的年金の一元化」というだけで半世紀続いた現制度を廃止し新制度を構築するにはハードルが高すぎるといえるかもしれません。


詳しくは、厚生労働省などにお尋ねください。





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